2009年4月25日土曜日

April showers











昨夜からの雨が、今日は一日中降りやまない。
庭の花たちにしばらくは水をやらなくて済むなァとか、折角刈り込んだ垣根の木がまた伸びるなァとか、二日酔いのボケ頭でぼんやり考えていたら、ふと「April showers」を思い出した。
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イギリスの歳時記に、
March winds and April showers Bring forth May flowers.
(三月の風と四月のにわか雨が、五月の花を咲かせる)
というのがあるそうだ。
マザーグースの一節にも用いられているとか。
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陰鬱で長い冬が終わり、5月に一気に花が咲くその季節感から来ているんでしょう。
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昔、5月をはさんで3ヶ月ほどイギリスにいたことを思い出した。確かに、5~6月は突き抜けるような晴天が続いていた。
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日本でも、これは同じで、「穀雨」というそうです。以下、Wikiを借用。
「穀雨(こくう)は、二十四節気の1つ。4月20日ごろ。および、この日から立夏までの期間。
太陽黄経が30度のときで、田畑の準備が整い、それに合わせて春の雨の降るころ。三月中。
穀雨とは、穀物の成長を助ける雨のことである。暦便覧には「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記されている。
穀雨の終わりごろに八十八夜がある。」
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回顧モードに入ってしまうが、高校時代の英語の教科書にTSエリオットの難解な詩「荒地」があったのを、連想的に思い出した。もっとも覚えていたのは冒頭の一行だけで、しかもワーズワースの詩だとばかり思っていたが(ワーズワースにしては「暗い」なと、不思議でしたが)。
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April is the cruelest month, breeding
Lilacs out of the dead land, mixing
Memory and desire, stirring
Dull roots with spring rain.
Winter kept us warm, covering
Earth in forgetful snow, feeding
A little life with dried tubers.
Summer surprised us, coming over the Starnbergersee
With a shower of rain; we stopped in the colonnade
And went on in sunlight, into the Hofgarten,
And drank coffee, and talked for an hour.
Bin gar keine Russin, stamm' aus Litauen, echt deutsch.
And when we were children, staying at the arch-duke's,
My cousin's, he took me out on a sled,
And I was frightened. He said, Marie,
Marie, hold on tight. And down we went.
In the mountains, there you feel free.
I read, much of the night, and go south in winter.
・・・
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(西脇順三郎 訳)
四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。
冬は人を温かくかくまってくれた。
地面を雪で忘却の中に被い
ひからびた球根で短い生命を養い。
シュタルンベルガ・ゼー湖の向うから
夏が夕立をつれて急に襲って来た。
僕たちは廻廊で雨宿りをして
日が出てから公園に行ってコーヒーを
飲んで一時間ほど話した。
「あたしはロシア人ではありません
リトゥアニア出の立派なドイツ人です」
子供の時、いとこになる大公の家に
滞在(とま)っていた頃大公はあたしを橇に
のせて遊びに出かけたが怖かった。
マリーア、マリーア、しっかりつかまって
と彼は言った。そして滑っておりた。
あの山の中にいるとのんびりした気分になれます、
夜は大がい本を読み冬になると南へ行きます
・・・
*
教師がどういう解釈をしたかは全く忘れましたが、この詩は春よりは冬がいい、と言っているのはたしかだ。
春を、浮かれた世の中、文明的なるもの、現代社会、に喩えたのか?どうか?
*
写真は、我が家から徒歩圏内の今日の風景。

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