2011年9月4日日曜日

「放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人には来ません。クヨクヨしている人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています」(山下俊一) 朝日がん大賞受賞

政治家やお役人が相手なら、私なんぞでも、少しの揶揄や批判も許されるだろう。
けど、相手が大学の先生ともなるとネー、ちょっと考えてしまう。
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だけどだけど、広河隆一「福島 原発と人びと」(岩波新書)を読んで、いくらなんでもひどい先生もいるもんだ、と思った。
しかも、その先生が、今回「朝日がん大賞」なるものを受賞したという。
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慶応の金子先生も、これには「絶句」したそうです(コチラ)
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以下、ささやかな記録目的です。
グーグルで「山下俊一」とひくと、ズラーと出てきますが
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まず「朝日がん大賞」受賞ニュースは、9月1日付け「朝日新聞」より
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 ■朝日がん大賞に山下俊一さん
日本対がん協会(垣添忠生会長)は、今年度の朝日がん大賞と対がん協会賞の受賞者を1日付で発表した。大賞には長崎大学大学院教授で、7月に福島県立医科大学副学長に就任した山下俊一さん(59)が選ばれた。2面に山下さんの「ひと」
チェルノブイリ原発事故後の子どもの甲状腺がんの診断、治療や福島第一原発事故による福島県民の健康調査や被曝(ひばく)医療への取り組みが評価された。2日に鹿児島市である「がん征圧全国大会」で表彰する。
・・・・・・(略)
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同日付け同紙の「ひと」欄
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旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後の医療協力で現地に行ったのは100回を超える。20万人の子どもの検診事業に力を尽くし、放射性ヨウ素の影響で甲状腺がんが増えていることを明らかにした。
福島第一原発事故では、3月18日から福島県に入った。県から放射線健康リスク管理アドバイザーに任命され、30回以上の講演で住民に放射線の健康影響を語った。
「チェルノブイリで培った20年間の経験を福島で生かすべきだと思いました」
健康への影響を「大丈夫」と言い過ぎたという批判も受けた。
「大丈夫と言てきた責任がある」と、被曝に向き合い続ける。
7月には長崎大教授を休職して福島県立医科大の副学長に就任した。住まいも福島に移した。
原発事故が実際、住民の健康にどんな影響を及ぼすのか。全県民を対象にした健康管理調査に取り組む。住民の放射線への不安にこたえ、がん予防など個人の健康づ
くりにもつなげたいと考える。
長崎生まれの被爆2世で、先祖からのクリスチャン。子どものころから尊敬してきた人物は、原爆被爆者の医療に身を捧げ、「長崎の鐘」の著作で知られる永井隆博士だ。博士の心を胸に刻んで医学の道に進んだ。
「福島の復興には、安心して住めることが欠かせない。そのために力を尽くしたい」
文・浅井文和 写真・遠藤真梨
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この記事からだと、少し批判をされたが、献身的な研究者の容貌が見て取れる。
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広河隆一「福島 原発と人びと」(岩波新書)より
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いわき市のYさんは、
一旦、東京に避難したが、家族を連れて戻ってもよいのか迷っていた。
Yさんは、3月20日、いわき市の平体育館での山下教授の講演を聞いた。
********************(段落を施す)
「私が知りたかったのはとにかく安全か安全じゃないかということでした。家族を連れてきていいのかだめなのかということです。
その時に山下教授は開口一番、安全です、と言いました
誰が質問しても安全です、大丈夫です、問題ないですと言い切ったのです。
すごい先生が長崎から福島まで、自分も被曝する可能性があるのに来てくれて、安全だって言うんだから間違いないよなって、自分を納得させて東京に戻ったんです。家族を連れに」
家族は三月二四日にいわき市に戻った。
学校が始まるという話を聞いて戻った人も多かった。始業式の日程は五月ごろまで様子をみた後で決めると言ってくれれば、戻ってこなかった人たちもいたはずだった。
学校が始まるんだし仕方がないなと思ったことも、Yさんが子どもたちを連れ帰った理由だが、一番の理由は山下教授が大丈夫だと言ったことだった。

マスクなんかしなくて空気いっぱい吸って、気持ちを明るくもてばそのほうがいいですから」と教授は言ったという。

放出された放射性物質の量も明らかにならず、また、原発事故の収束も見通せない中で、なぜ安全だと言えるのだろうか。

現状の放射線測定値に基づく見解だとしても、無用な被曝を避けるために、「避難できる人は避難したほうがいいです」と言うべきではなかったのだろうか。原発から放射能は出続けていたのである。今後、どのような被害が生じるか定かではない。

Yさんの妻は「山下教授は、五年後一〇年後に残る罪作りをしたんです」と言う。

Yさんが、あのとき山下教授が言っていたことが本当なのかなと疑問に思うようになったのは、インターネットで調べ始めてからだった。
教授の名前を打ち込んだら、「御用学者」というキーワードが出てきた。

山下教授は二一日の福島市の講演では「放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人には来ません。クヨクヨしている人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています」と発言していた。
「それで、これはひょっとしたら自分は騙されているのではないかと思って……」とYさんは言う。
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いちいちコメントするのも馬鹿馬鹿しい内容だ。

更に、こんなことも(↓)

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五月三日の二本松市での講演会では「五年後、一〇年後に子どもたちの健康に影響があったら責任を取れますか」と問われ、「将来のことは誰も予測できない。膨大な疫学調査がいるのです」と長期的な影響については明言を避けた。

しかし、同じ講演会で、山下氏は次のようにも述べたのである。
私は、みなさんの基準を作る人間ではありません
みなさんへ基準を提示したのは国です。
私は日本国民の一人として国の指針に従う義務があります

科学者としては、一〇〇ミリシーベルト以下では発がんリスクは証明できない。だから、不安を持って将来を悲観するよりも、今、安心して、安全だと思って活動しなさいとずっと言い続けました。
ですから、今でも、一〇〇ミリシーベルトの積算線量で、リスクがあるとは思っていません。

これ(年間一〇〇ミリシーベルト)は日本の国が決めたことです
私たちは日本国民です」
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将来、問題になった時の自分の身の安全をしっかり確保している。
悪い結果が出たときは「国」の責任です。
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