2011年12月11日日曜日

「地獄を見た」 「チャイナ・シンドロームになると思った」(福島第一原発吉田昌郎前所長)

東京 北の丸公園(2011-12-09)
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「チャイナ・シンドローム」:
それは、炉心溶融(メルトダウン)を起こすと、原子力燃料が地球を突き抜けてアメリカから中国に達するほど恐ろしいことになるという意味。

多分、アメリカ映画「チャイナ・シンドローム」からきたもの(Wikiはコチラ
既にテレビの洋画劇場などでも何回か放映されている映画。

福島第一の吉田前所長は、畑村事故調のヒアリングに対し、3・11原発事故をこの「チャイナ・シンドローム」という語を使って形容したという。

「東奥日報」 「天地人」 2011年12月9日(金)
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発せられた言葉はやはり衝撃的だ。
「地獄を見た」
「(核燃料が格納容器の底を貫通する)チャイナ・シンドロームになると思った」
東京電力福島第1原発事故について、所長だった吉田昌郎さんが政府の事故調査・検証委にこう話したという。

原子炉格納容器が爆発し、多くの放射性物質が飛散する。
そんな最悪の事態が脳裏をよぎったようだ。
無理もない。
全ての電源を失い、一時、原子炉を冷却できなかったのだから。
格納容器の圧力を下げるため、蒸気を外部に放出する「ベント」も難航した。

事故は「想定外の津波が原因」と東電は言う。
が、2008年に社内研究で想定を大きく上回る10メートル超の津波の可能性が指摘された。
これを「具体的根拠のない仮説に基づくもの」とし、対策を取らなかった。
そのくせ、実際に大津波が来たら、想定外という。
これでは納得する人はいまい。

「米国並みのバックアップ電源があれば、原子炉の冷却が失われることはなかった」
「欧州のように、ベントの際、放射性物質を取り除く設備があれば、汚染もはるかに小さくて済んだ」。
海外の原発に詳しい専門家が指摘する。
東電にはやるべきことがまだまだあったのだ。

なのに、20年ほど前から株主を意識してコスト削減を進め、原子力予算も安全管理などの研究分野が犠牲になった。
「安全性は既に十分」とする独りよがりの慢心。
そして利益追求の企業論理。
そんなことで多くの人が生活を根こそぎ奪われ、吉田さんも地獄を見た。
怒りが収まらない
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吉田前所長の証言は、この他にも報道されている。
(かなり誠実に対応され、証言されたんではないか。)
「河北新報」
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原発事故調、住民への情報に不備 可能だった津波対策

政府の東京電力福島第1原発事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)が
(1)大津波に備えた防水対策や電源準備は可能だったが、実施されなかった
(2)避難住民に被ばく軽減のため必要な情報や指示が届けられなかった
―の2点を問題視し、26日に公表する中間報告で事故の教訓を得るための考察の柱にする方向で調整していることが7日分かった。

また吉田昌郎前所長が調査委の事情聴取で、原子炉格納容器が爆発して収束作業が不可能になり、はるかに多くの放射性物質が飛散する事態を懸念したと証言したことが分かった。
2011年12月08日木曜日
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畑村事故調の報告内容については、以上の2報道と重複するところがあるが、以下の報道があった。
「中国新聞」
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住民への情報に不備、可能だった津波対策 政府の原発事故調

(前2報道と重複するので省略)

調査委は、もっと大きな惨事となる恐れがあったことを深刻に受け止め、通常の事故調査の枠にとらわれず、原発事故とどう向き合うかを広い視点で提言する方向で議論している。
ただ、どこまで踏み込むか慎重論もあり、調整が続いている。

調査委は6日に開いた非公式会合で、中間報告のうち事実関係をまとめた六つの章をめぐる議論をほぼ終了。
畑村委員長や作家の柳田邦男委員長代理らが起草した「考察」と「提言」の素案の本格討議に入った。

考察は、責任追及でなく、被害者に寄り添って事故の教訓をくみ取ることを主眼にしており、住民の立場から必要な指示や連絡がなかったことに焦点を当てる方向だ。

政府は3月11日の事故発生後、同心円状に避難区域を設定し、半径3キロ、10キロ、20キロと順次拡大。
しかし放射性物質が風で流れた北西方向の20キロ圏外に計画的避難区域を設定したのは4月22日だった。
この間、情報不足で自分の居住地域より線量が高い地域に避難した人もおり、住民に「余分な被ばく」をさせたとの指摘がある

津波については東電の2008年の社内研究で、想定を大きく上回る津波の可能性が示されたが「具体的根拠のない仮定に基づく」(東電社内調査中間報告)とされ、対策に生かされなかった。
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畑村委員会には、「情報不足」ではなく「情報隠し」というアングルでメスを入れて欲しい。
畑村失敗学の真価が問われている。
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