2011年12月18日日曜日

「ヤクザと原発 福島第一潜入記」の著者鈴木智彦氏の外国特派員協会での会見(BLOGOS)

東京 北の丸公園(2011-12-15)
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「ヤクザと原発 福島第一潜入記」の著者鈴木智彦氏の外国特派員協会での会見(BLOGOS)

転載させて戴く。
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(略)

オールジャパンなんてウソ
鈴木:まず言っておきたいのは、今回の原発事故収束に対し、政府はオールジャパンで取り組むと言っていますが、現実は違います。

福島第一原発には日立・東芝が入っているのですが、日立がやっている事は東芝に知らされない、東芝のやることは日立に知らされない。独自でそれぞれ対策をやっている。協力してやれば、もっと進むのに。

原子力発電の是非はともかく、福島第一原発の現状は、はっきり言ってアウトの状態です。
アメリカ軍が当初避難区域を80キロに設定しましたが、それが正しかったと思っています。

数値を実測すると福島の中通りあたりは線量も高く、汚染もひどく、完全に管理区域です。一般人の立ち入りを禁止すべき場所です。
にも関わらず、日本の基準はいわき市、福島市、郡山市の大都市を避難させないという前提の下で20キロに引かれたものであろうと思います。
僕の取材した、全ての原子力関係の技術者は、「本来は住んではいけない場所に住んでいる」「原発の中で生活しているのと同じ」と言っています。

付け焼刃のずさん工事
最新情報ですが、政府は冷温停止を急ぐために現場ではずさんな工事をやっている。
例えば、汚染水の配管の多くはプラスチックで、とりあえずつながれている所が多い。寿命も短い、凍結の恐れもある。今、その付け焼刃の工事の尻拭いを一生懸命やっている。

原子炉が福島第一原発には6基あって、建屋が4つありますが、全てにおいて、正確なデータが取れておりません。
今回IHIがようやく、2号機の確認に入るらしいですが、それでも原子炉内のペレットがどうなってるかわからないでしょう。とりあえず道路を直して、水で冷やしているのが実態。今後のメンテを考えると、とても不安。

Fukushima50と言って世界的に有名になった作業員、職員達がいます。水素爆発後も残って収束作業に当たった彼らの勇気は賞賛されるべきだが、とあるメーカーの研究者に現段階でも福島第一原発で働くことは「死んでくれ」と同じことと言われました。それくらい危機的状況は変わっていない。

海外メディアの皆さんは日本政府や東電に不信感をもっていると思います。
ですが、東電の情報が全てウソということでもありません。
東電は質問者の知識に合わせて答えるだけなので、ジャーナリストの皆さんは原子力の事を勉強し、理論武装して、東電から情報を引き出してください。

被曝量偽装の現実
(略)

死んでもいい人間を集めろ
鈴木:事故直後、東電は各社に死んでもいい人間を集めてくれと指示しました。その時、原発内に入るのに放射能管理手帳は必要なかった。健康診断などもなかった。実際、そういうパニック状態だったことは間違いないが。

(略)

かといって絶望的かというと、そうでもないこともあって、実は、日立、東芝は事故収束のアイディアを沢山持っている。
それを政府、東電は「危機は脱した」という認識につけこんで、収束予算を削減している。
どんなアイディアを持っていっても、「予算がない」の一点張りで却下している状況。

そういう中に、暴力団、ヤクザが労働者として入り込んでいる。ヤクザは事故以前から、原発の共同体の中に入っている。東電に聞けば知らないと言うだろう。問題になれば下請けのせいにして、トカゲの尻尾切りで終わらせる。

最後に、福島第一原発事故の収束は全くしておりません。これからが本番だという事を言っておきます。

これから、この腕時計形のピンホールカメラで隠れて撮影してきた、写真を公開します。

(略)

質疑応答
-冷温停止について
とりあえず、冷温停止はしています。ただ、この冷温停止を何年も維持しなくてはいけない。それが上手くできるか、作業員の被曝なしにできるかどうかは疑問です。

例を挙げると、配管を支える「サポート」という台があるんですけど、配管同士が合わないので、無理やり曲げて使ってるんです。耐久性のあるものでもないし、交換するにも、すでに汚染水の流れているものなので、かなりの被曝をしなければならない。冷温停止を急ぎすぎて、後で大変なツケが回ってくる。

-暴力団の関与について
実際に確認した暴力団員はたった一人ですが、直接現場で働くというより、労働者を派遣するほうに入っていますので、労働者も暴力団の口利きで入ったと自覚していない人も沢山います。

これを証拠というのはあまりにも乱暴ですが、とある組織の所有車が、原発事故後、どんどんいい車になっていくので、あそこもそうだなという噂が立っております。派遣の1割くらいが暴力団関連企業です。登記簿を見れば役員に組員の名前があるのですぐ分かります。

-どうしてジャーナリストだとバレた?
本名で活動しているので、ネット検索すれば分かってしまうのですが、他の作業員が昼寝していてあまり参加しない、原発での講義を最前列で一生懸命メモを取ってたら怪しまれてバレました(笑)
表向きの解雇理由は、東京からいわき市まで通っていて、その通勤が遠すぎるから、という理由です。

-日当はいくらもらっていた?
1万5千円、もしくは2万円です。ちなみに、僕はもらった日当は大熊町と二葉町に全額寄付しました。電気溶接の免許があると、3~4万円もらえます。月に100万円以稼いでいる人もいました。ただその人はFukushima50の中の1人でしたが。日立は太く短く、東芝は細く長く、という働き方の特徴があります。

-ヤクザのピンハネ率は
(略)

-Fukushima50の中に、本当にヤクザがいたのか
(略)

-福島第一原発はどこの組の縄張りか
(略)

会見の最後に鈴木氏は「多くの目が福島第一原発に注がれるべきだと思っています。残念ながら、日本のマスコミはあまり見ようとしません。私は全ての方のインタビューに答えます。外国の方にこんなことを頼むのは悲しいですが、これからも福島第一原発を忘れずに、注目して欲しいです。よろしくお願いします」と結んだ。

野田総理の冷温停止宣言で、日本のマスメディアの報道も停止してしまわないことを切に願う。
************************************************(終)

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