2012年5月19日土曜日

「私たちの症状は、住民の人が何を訴えても、医師にすべて「気のせい」だとされている今、少しは役に立つかもしれない」(広河隆一)


「DAYS JAPAN」というフォトジャーナリズム月刊誌がある(コチラ)
広河隆一さんの編集になるもの。
最近は、「検証・原発報道」で福島事故後数日の詳細な報道記録とその評価を纏めた。

さてその「DAYS JAPAN」最新号の編集後記で、広河さんが気になることを記している。

広河さんは、事故の翌日から数人で福島入りして様々な取材した。
この取材をベースに、「福島 原発と人びと」(岩波新書)を著している。

そして、
その福島取材の後、同行のメンバの殆どが体調不良を覚えたという。
例えば、福島のひとたちが、似たような症状を訴えても、すべて「気のせい」とされていることから、1年後のいま、敢えて、このことを公にしたようだ。

ご本人の了解を得ていないが、下記にその「編集後記」全文を転載させて戴く。

原発全機が停止。さあこれからが本当の勝負だ。
ところで私たちの体内で何が起こっているのだろうか。私は昨年3月12日に郡山、13日に双葉町、14日に南相馬から仙台、15日飯舘村を取材した。
4月中ごろから体調の急激な悪化、激しい疲労感、呼吸の困難などを感じ、下痢も頻繁におこった。1年後の今は少し回復している。
同じ13日に双葉町に入った取材仲間がどうなっているのか気になって聞いてみた。
野田正也氏(37歳)は双葉町取材後、目頭や後頭部がずきずきと痛み、体は疲労感でずっしりと重く、倦怠感に襲われたという。温泉で休むと回復したが、また飯舘村などに入ると倦怠感、疲労感を繰り返す。
豊田直巳氏(55歳)と同行したが、2人とも3日に1日は休息し、また飯舘村に戻るというやり方を続けた。野田氏は東京の自宅に戻っても2、3日は何も手につかないほどの倦怠感があり、1年後の今はかなり回復した。しかしいつ再び影響が出るのか心配だという。
一度現地で断れず、キノコを食べたことも気にかかっている。
山本宗補氏(58歳)は、双葉町取材後頭が重くなり、夕方以降気分が悪く、喉の渇きと吐き気とを覚えたが、吐けなかった。その後4月11日に高濃度汚染地区の取材を再開したが、数時間滞在するだけで頭が重く感じた。事故前に感じたことのなかったような疲労感も感じたという。
森住卓氏(61歳)は、双葉町取材の後、これまで感じたことのない頭痛とめまいを感じ、咳と痰に悩まされた。4月中旬から突然「どーんと落ち込んだような」疲労感が始まった。そしていつも急に回復した。皮膚も赤くなり、かゆみや関節の痛みもあった。1年後の今も激しい頭痛や倦怠感に頻繁に襲われるという。
豊田氏は、当時胸が苦しくなり、疲れを感じ、下痢を生じた。現在はそれほど症状はないという。
しかし綿井健陽氏(40歳)は、当時も今も特に思い当たる症状はなく、昨年11月の健康診断でも異常はなかった。
症状は個人差が大きかった。
気のせいや緊張や疲労のせいかと考えている人も多いが、かつてない疲労感、倦怠感、下痢を生じた人は多い。
私たちの症状は、住民の人が何を訴えても、医師にすべて「気のせい」だとされている今、少しは役に立つかもしれない(広河)

そういえば、時々、長く福島に滞在する柳美里さんも、福島帰りのあと、体調不良や倦怠感を訴えているように見える。

福島在住の方では、自らの身体の変調を公開した“ぬまゆのブログ”の沼内恵美子さんが気になるところだが・・・、
種々、困難の中、ゆっくりと強く歩んでおられるようにお見受けした。

突然閉鎖された「ぬまゆさんのブログ」(コチラ)


【速報】ぬまゆのブログに閉鎖の噂。(2012年3月10日)(コチラ)


ぬまゆのブログ その2(コチラ)

ぬまゆのブログ ( その3 )(コチラ)

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福島 原発と人びと (岩波新書)
福島 原発と人びと (岩波新書)








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