2012年12月21日金曜日

韓国のホームレス100万人超える

KR NEWS
韓国のホームレス100万人超える 
加藤友美 ㅣ 記事入力 2012/12/14 [14:47]

 韓国でも長引く深刻な不況で、家がなくあちこち渡り歩く「居住難民」いわゆるホームレスが急増している。

  特に、異常気象で氷点下10度にもなる今年の冬は、仕事を失い行くあてのない人々が、都市郊外のひと気のない地下コーヒーショップや漫画喫茶などで夜をあかしている。

  韓国の長引く経済不況は「家族解体」という副作用をもたらした。そのため韓国人の離婚率が世界第2位になった。離婚の理由は、夫の突然の失業や女性の経済活動の活発化、それに伴い高くなった女性の社会的地位である。

  2000年代に入ると、これまでとは異なり、がまんして暮らす女性たちが著しく減少した。また、たとえ非正規のパートタイムでも、女性が働ける場が増えた。これまでのようにひたすら夫の給料に頼って、自分の人生をゆだねる環境から脱し、「自立(離婚)」まで夢見れるようになった。

  問題は、こうした家族解体が社会的に多くの問題を引き起こしていることだ。特に男性は一瞬にして奈落の底に落ち、目的意識を失って人生を放棄することもある。離婚を経験したかなりの男性が失意のうちに、アルコール依存症に陥ったり、乱暴な性格に変わるケースが多いという。

  さらに長引く不況が、彼らの「再起」まで足を引っ張っている。大企業の社員から中小企業に、さらには日雇い労働者にまで転落し、最終的にはその仕事さえ失って街を彷徨う人々が多いのだ。

  それだけではない。大学を卒業したばかり、あるいは休学をして就職先を探そうと地方から上京してきた若者たちまで、適当な住居がなくソウルの街を彷徨う人々が何と100万人に達するという実態を、SBS放送が13日夜のニュースで報道した。
 
「長い廊下を挟んで小さな部屋が鈴なりに連なっているここは、考試院(コシウォン)です。ソウルだけで5700か所を超えました。名前は考試院ですがここに住んでいる人の中に実際の受験生は20%もいません。ほとんどが家を借りるお金を工面できない人々の住まいに使用されています(女性リポーター)」

  考試院とは、各種国家試験を受ける受験生たちのために作られた、1~2坪のスペースに机とベッドがやっと納まっているような非常に狭い長期宿泊施設。壁は薄いベニア板で仕切られ、少しでも大声を出せば隣の部屋に筒抜けだ。真冬でもコストの問題で暖房がきちんと完備されておらず、机の上に置いた水がかちかちに凍りついてしまう。しかし、考試院で生活しながら寒いと言っているうちはまだ幸せだ。

  部屋一つに共同でトイレを使用する、日本の15,000-2万円の安アパートよりもはるかに劣悪な部屋だと思えば理解が早いだろう。考試院の費用はだいたい月20〜30万ウォン(11,000-14,000円)程度。炊事スペースは全くない。消防設備も劣悪だ。そのため、一度火災が起きたら大量の人命被害が発生する。昨年も考試院で火災があり7人が命を失った。

  女性レポーターが言ったように、本当の試験勉強をする受験生ではなく、多くの一般の人たちがこのような施設で生活する。しかも、このところの寒波で工事現場が減り、考試院費用を払えなくて路頭に迷う人々が急増し始めた。いわゆる「居住難民」たちだ。

  考試院から追い出された人々が訪れる場所はネットカフェ。もともとネットカフェは10代、20代の若者たちの遊び場だった。ゲーム好きな学生たちが主に集まり、新たに入ったゲームプログラムを楽しむ。しかし、夕方には学生たちも家に帰る。その後の時間は行く当てのない居住難民たちが席を埋める。料金も半額だ。

  ネットカフェは1時間当たり1000-1500ウォン(学校前や住宅街基準)、繁華街では2500ウォン前後だが、夜はほとんど5-600ウォンだ。24時間営業する店主の立場では、深夜12時以降は客がいないので、安価でも居住難民を受け入れるのだ。それでも朝まで平均7-8時間を留まるため、店主の立場では全く損害がない。お互いWin-Winの関係だ。

  だからといってネットカフェが友好的なことばかりではない。一週間以上毎日来る他の客からクレームが出て、他の場所に移動する。理由は、彼らは大小の荷物を持ち込むので、他の客が気になるというものだ。

  ネットカフェから追い出された人々は漫画喫茶に移る。漫画喫茶は通常一晩に4-6千ウォン。もちろんネットカフェのように椅子に座って寝る。

  しかし、これよりもっと悲惨な最終コースは、地下にある郊外のコーヒーショップ。コーヒー1杯の値段(2,3千ウォン)を支払えば一晩中椅子に座っていられる。昼に来ればと500ウォン割引してくれるところもあるという。

  「もうこれ以上行くあてもありません。働き口もないんです。50歳以上を受け入れてくれるところはどこにもありません。一日何千ウォンずつ出ていくネットカフェ代も今週でもう底をつきます。それまでに働く現場が見つかればいいですが、もし見つからなければ、この厳しい冬どこに行ったらいいのか...」

  パク・ジョンチョルさん(52)は、98年、韓国がIMF経済危機に陥った時、当時10大企業に属する会社で、突然人員調整の対象になり解雇されたという。それでも約2年間は退職金でなんとか生活できた。

  その後友人と協力して食堂を始めたところ、経験不足により1年で倒産。友人の紹介でリサイクル製造関連の中小企業へ就職したという。そこも技術習得力が落ちるのに東南アジアから来た労働者より給料が多いということで、やはり1年で解雇された。

  その間に増えたのは酒と神経質。家で夫婦喧嘩する回数も増え、子供に怒ることも多くなった。ところがおかしなことに、心の内とは反対に、家族にはいつか必ず成功するとよく大口をたたいたという。

  結局、この言葉が、雲をつかむような夢ばかり追う夫、信頼できない父親として認識され、妻にも子供にもパクさんは "解雇"された。パクさんは、妻子の前で自分のプライドを守るためにそのような話をしたのだが、それが引き金になったことを後で妻が離婚届を出した時、初めて気付いたという。

  それからは、家族、友人、知人を訪ね歩き、職場の紹介や生活費の援助を受けたが、数年が経った今ではみんな自分を避けて、すぐに路上生活者になったという。周囲からもしかしてホームレスではないかと言われることが、一番耳にしたくない怖いことだという。

  「今はいくら低い賃金でも、定期的に長期間働けるところであれば、何でも感謝して受け入れ働きたいです。どこかそんなところがないでしょうか?」

  このような「居住難民」が少なくとも100万人という時代。その一方で高級マンションは分譲できず、住宅価格がどんどん下落して空き家のままである。さらに、来年には景気がさらに悪化するという見通しだ。

  それでは、これらの「居住難民」はどこへ行くのだろうか?
ますます激化する韓国のこのような貧富の両極化現象。韓国社会を押さえるアキレス腱はもうずいぶん前から登場している。

記事入力: 2012/12/14 [14:47]  最終編集: ⓒ krnews

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