2012年12月23日日曜日

特使派遣で騒動、安倍政権の韓日外交に不安(朝鮮日報)


朝鮮日報 記事入力 : 2012/12/22 09:57
特使派遣で騒動、安倍政権の韓日外交に不安   

 26日に日本の首相に就任する安倍晋三・自民党総裁が21日、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領と合意もせずに特使を派遣しようとしたことが外交儀礼に反すると指摘されている。安倍総裁が安易に特使派遣を発表してすぐに取り消したことは、韓日関係を悪化させたとの批判も聞かれる。

■一方的な発表

 韓国の与党セヌリ党や外交通商部(省に相当)によると、安倍総裁は20日、朴槿恵氏に祝意を伝えるためにセヌリ党本部を訪れた別所浩郎駐韓大使を通じ、「特使を派遣したい」との意向を伝えた。また、韓日議員連盟、在日本大韓民国民団の関係者を通じても特使派遣を打診した。

 産経新聞は21日朝、額賀福志郎元財務相が同日夕にソウル入りし、22日に朴槿恵氏と会い、親書を手渡すと報じた。同紙と朝日新聞などは安倍総裁の親書に「両国は戦略的利益を共有している。祖父(岸信介元首相)、父(安倍晋太郎元外相)のように韓国の指導者と個人的な信頼関係を深め、発展的外交関係をつくりたい」との内容が盛り込まれると伝えた。

 これに対し、朴槿恵氏サイドは「事前協議が全くないまま、日程を安倍総裁サイドが勝手に発表した」と述べた。朴槿恵氏サイドの関係者は「20日に安倍総裁から特使を送りたいとの打診を受け、『検討したい』という原則論的な立場を明らかにしただけだ。自民党が我々を試そうとしてメディアプレーを行ったのではないか」と話し、強い不快感を示した。外交通商部関係者は「安倍総裁側から特使を送りたいとの話があり、『時期を調整したい』と回答したが、自民党側が特使派遣を一方的に発表したのが事件の経緯だ」と説明した。

 安倍総裁は同日午後5時からの記者懇談会で「特使は自民党レベルではなく、韓日議員連盟のレベルだ」と説明を変えた。安倍総裁はまた、午前の記者会見では国が「竹島の日」の行事を主催するという公約の留保を示唆したが、午後には「総合的に検討する」と発言を後退させた。


■朴氏サイド「微妙な時期に会う理由なし」

 朴槿恵氏サイドは「時期的に現在は日本から派遣された特使と会う時期ではない」と特使を拒否する姿勢を鮮明にした。安倍政権発足後の韓日関係がスムーズにはいかないとみられる中、特使との会見を急ぐ必要はないとの立場だ。また、安倍総裁が日本のメディアを通じ、自身の祖父、父と朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の関係が親密だったと主張したことは、政治的にも朴槿恵氏に打撃を与える可能性がある。

 外交消息筋は「安倍総裁がいつ独島(日本名・竹島)問題などで韓国の不意を突くか分からない状況で、安倍総裁の特使と急いで会う実益がない」と話した。

 また、安倍総裁が選挙で掲げた極右傾向の公約を考えると、安倍総裁が派遣する特使を信頼できないとの評価も聞かれる。別の外交消息筋は「安倍総裁が少なくとも政府レベルで『竹島の日』を推進しないという立場を表明するならともかう、留保してもよいという立場を明らかにしたことで誠意を示したとは見なせない。毒入りリンゴを誤って食べれば、朴槿恵政権が発足前から致命傷を負うことになりかねない」と警戒した。

■韓中日で日本は劣勢

 安倍総裁が韓国大統領選が終わってすぐに朴槿恵氏に特使を送る姿勢を示したのは、韓中日3カ国の関係で日本が劣勢に立っていることを象徴しているとの見方が出ている。日本は今年、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題で中国との関係が悪化しており、韓国との関係もぎくしゃくしている。安倍総裁が中国に対抗するカードとして、朴槿恵氏に特使を送ろうとしたとの観測もある。朴槿恵氏サイドの慎重な反応は、そんな安倍総裁の狙いを意識した側面もある。


東京=車学峯(チャ・ハクポン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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