2013年2月13日水曜日

忌野清志郎『瀕死の双六問屋』を読む(その5) 「軍隊を持って徴兵制でガキどもを兵隊にして戦争したい政治家が多いみたいだけど、・・・」

江戸城(皇居)梅林坂 2013-02-13
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忌野清志郎『瀕死の双六問屋』を読む(その5)

3回くらいで終わると見込んだけれど、その倍以上になりそうだ。
何回読んでも面白い。
痛快。
しみじみとして、かつ明るい。
勇気が湧いてくる。
是非、本を買って全編を読んで下さい。

第二十六話 ドブネズミどもに捧ぐ
 ・・・。おもしろかったのはいくつかの外国の雑誌だった。
外国人記者は日本人の記者が見逃しているところを見逃さなかった。
「なぜ、あなたの君が代のエンディングのところにアメリカ国歌が演奏されているのか」と質問したのは外国人達だった。
「ふふふふ・・・、なぜだと思う? いくつか理由は考えられるだろう、日本はアメリカの属国だとか、アメリカの核の傘の下でにせ民主主義を謳歌しているとか、アメリカと仲良くしなくちゃやっていけないぜとかね・・・、君はどう思うんだ?」
でも俺はそんな質問にはこう答えておいたよ。
「ジミ・ヘンドリックスを尊敬してるからさ。国歌をロックで紹介したのはジミ・ヘンが最初だ。俺はすごく影響を受けたんだ。今でもジミ・ヘンの『AXIS:BOLD AS LOVE』は聴いてるよ。あれは名盤だ」ってね。
これは俺の本当の気持ちだし、まさかヒニクをこめて米国国歌をやったなんて言えないし、それにたいした演奏じゃないしね。
一曲の中にいろんな思いがあるって言うのはいちいち聴く人には伝わらないことだと思うよ。
その曲は聴いた人のものさ。
それでいいじゃないか。
どうせ俺のCDなんて大した影響力もないんだしね。

 軍隊を持って徴兵制でガキどもを兵隊にして戦争したい政治家が多いみたいだけど、と同時に、事無かれ主義の大人も多いみたいだけどさ、どーだろう? 
日本は民主主義国家だなんて言ってないで、事無かれ主義国家だって世界に向けて言った方がよっぽどカツコいいんじゃねえか。
ロックっぼいぜ。
ねえ、ラジオのディレクターさん、どー思う? 
HEY!HEY!HEY! キクチ君どーだい? 
しかし、ま「COVERS」の時もそうだったけど。よくまあこれだけ無視してくれてうれしいよ。
今までへつらってくれてありがとう。
もう、こんな世界からは足を洗いたくなった。もう、うんざりだ。
俺は歌を作って歌っていくよ。
だって、それが好きだからな。
好きなことをやっていくさ。
この資本主義式事無かれ主義社会の中でどこまでやれるか、はなはだ疑問だけどね。
まあ、いいさ。もう、あいつらの世話にはなりたくねえや。
好きなことやって、メシ喰って、歌を歌って死んでいってやるさ。
クソみてえなインチキ野郎どもの世話になんかなりたくないぜ。
ざまあ見ろ、偉大な才能が君たちに見切りをつける時が来たんだ。
ではせいぜいそのドブの中でがんばってくれ、これがお前らに対する最後の挨拶だ。

 さて、先日読売新聞とオリコンにみょうちきりんな広告が出たらしい。
ポリドールが俺を応援するという主旨のものらしい。
そんなことをやってもまるで話題にならないところがほほえましい。
まあ事無かれは他のレコード会社も同じ。どうやって応接してくれるのか楽しみにしていよう。

第二十七話 職安へ行こう!

第二十八話 ロックン・ロール・グルになって夢を実現するんだ
 ・・・。君には信じられないだろうが、もう一度だけ言っておこう。
自分の夢を実現させるためにはおとなしくしてちゃダメだ。
主張するんだ。
俺はそれを知ってるんだ。
おとなしくしてるだけの家畜には夢なんか実現できやしない。
でかい声を出せ! 主張しろ!!

第二十九話 2001年・宇宙からの手紙
 俺は孤独な老人だ。
もはや、みんな居なくなった。
ずっと反体制だったから今じゃ誰も味方してくれない。
この年寄りには敵も居ないが、友人は孤独だけだ。
また新しい年が明けた。
不思議だ。とても静かだ。
12月はうるさくて、1月は静かで白けてる。
人々は相変わらず踊らされてるのさ。
俺も踊らされてるのかもな。・・・

 ・・・。やり場の無い怒りや失望感なんかにはもう慣れっこになっている。
「はははは・・・」と俺は笑い飛ばした。
心が引き裂かれそうだ。
ダンボール箱の中で暮らそう。
ダンボールの中に薄い蒲団を一枚入れると意外とあたたかいんだせ。
嘘だと思うならためしてごらん。
「ほんとだー。思ったよりあったかいなー」っていう声が日本全国から聞こえてきそうだ。
こんな夜にはギターでもつま弾いて、いっそ演歌でも作ろう。
演歌は今やまったく売れてないそうだ。
敵に塩を送ってやりたい気分だ。
売れる演歌を作ってやるぜ。
「津軽海峡Eメール」とか「俺はお前に2000年」とか「涙のマニュアル酒」とかはどーだろう? 
「リストラ」や「セクハラ」なども演歌にすると面白くなりそうじゃないか? 
演歌のレコード会社のディレクターさん、ぜひ私に連絡して下さい。
待ってます。

 よーし、希望の光が見えてきたぞ。
捨てる神あれば拾う神ありだ。
新年が何だ。
今年もがんばるぞ。
いや俺はいつもがんばってる。
去年も今年も来年もへでもねえさ。

第三十話  ブルースをつめ込んでワゴン車で出発だ
    絵画開眼三

(その6)へ続く
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