2013年5月5日日曜日

「安倍改憲」が葬り去ろうとしているのは、憲法9条だけではなく、日本国憲法に結晶した近代立憲主義憲法の論理と価値である。(愛敬浩二)


 安倍内閣が発足して以来、自民党「日本国憲法改正草案」(2012年4月) を検討する必要性が急速に高まっている。

 天皇の元首化や「国防軍」の設置など、同案には多くの問題点があるが、とりわけ問題だと思うのは、憲法前文を全面改正して、「社会契約の論理」(個人が自由・権利のよりよい保障のために政治社会を形成し、政府を設立する) を否定しようとしている点である。

 「安倍改憲」が葬り去ろうとしているのは、憲法9条だけではなく、日本国憲法に結晶した近代立憲主義憲法の論理と価値である。

 安倍首相が現在、「政党間で合意できるテーマから」と称して進めようとしている改憲発議要件の緩和が実現すれば、このような改憲を行うことも容易になる。

 改憲発議要件の緩和を阻止するためのたたかいは、近代立憲主義憲法の論理と価値を守るためのたたかいでもある。

愛敬浩二 (名古屋大学)
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