2014年2月28日金曜日

官邸、右傾化一段と = 景気回復で安倍首相の持論前面 (時事ドットコム)

時事ドットコム
官邸、右傾化一段と=景気回復で安倍首相の持論前面

 安倍政権の右傾化が鮮明になりつつある。安倍晋三首相の側近らの歴史認識などをめぐる発言が相次ぎ、政権の主要課題も安全保障政策が前面に出てきた。菅義偉官房長官は政権安定のため、「歯止め」に努めるが、限界も見え始めている。

 「『国民の声を聴く』という一番大切な部分が欠落している」。公明党の漆原良夫国対委員長はメールマガジンで、首相が集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈の見直しを閣議決定で行う方針を示したことを強く批判した。同党幹部は26日、「衆院予算委員会を見ても、首相は前のめりだ」と眉をひそめた。

 第2次安倍政権発足当初、首相は保守色の濃い「安倍カラー」を抑制していたが、今やその姿勢を隠そうとしていない。集団的自衛権の行使容認に加え、武器輸出三原則も大幅に緩和する考え。従軍慰安婦制度に関する「河野談話」見直しの必要性について国会で質問した日本維新の会の議員に、首相は謝意を直接伝えた。

 対米、対中関係をめぐる衛藤晟一首相補佐官や本田悦朗内閣官房参与の強硬発言について、「首相の本音を代弁したものだ」(志位和夫共産党委員長)との指摘もある。

 「私がやりたいことと、国民がまずこれをやってくれということが、必ずしも一致していなかった」。首相は昨年4月、週刊誌のインタビューで、第1次政権の一番の反省点をこう語っていた。「異次元の金融緩和」により、昨年の日経平均株価の年間上昇率は6割近くまで達し、国民の要望が強い景気回復に一定の成果が上がった。そこで、持論である歴史認識や安保政策の見直しに正面から着手し始めたとみられる。

 だが、安倍政権の右傾化には、非難を強める中韓両国だけでなく米国も警戒感を示している。米議会調査局は「首相の歴史観は第2次世界大戦などでの米国の役割に関する米国民の理解と衝突する危険がある」と懸念を示した。

 ◇菅長官の歯止め限界も

 こうした事態を、首相の女房役である菅長官は歓迎していない。「この政権が崩れるとしたら歴史認識からだ」との思いが強いためだ。だからこそ、昨年末の靖国神社参拝をめぐって首相に自制を求め、衛藤補佐官に対しても素早く発言撤回を指示し、幕引きを図った。

 ただ、首相は結局、菅長官の制止を振り切って靖国参拝を敢行。衛藤氏も当初は「個人として言うことは自由だ」と菅長官に反発した。安倍内閣の支持率が高水準を維持している限り、菅長官の力が及ばない場面が増えそうだ。(2014/02/26-19:20)



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