2014年7月12日土曜日

企業だけ潤っても(『朝日』経済気象台):個人の購買力を抑圧するような政策を続ければ、企業だけ潤っても国内市場は縮小し、国民の生活水準が低下しかねない。

企業だけ潤っても (『朝日新聞』経済気象台2014-07-11)

 政財界が連携したことで成果が上がったかに見えた今年の春闘。
ふたを開けてみれば、期待外れの結果となり、物価の大幅上昇ともあいまって、消費税引き上げが家計に大きな負担となっている姿が浮き彫りにされた。

 安倍政権の強い要請で、経団連も今年の賃上げには前向きと見えた。
実際、経団連に所属する企業の今年の賃上げは、7300円強、率にして2・28%になったと胸を張った。
ところが、厚生労働省の「毎月勤労統計」によると、5月の所定内給与は0・2%の増加。人手不足で、最近はパートなどの賃金も上昇していると伝えられ、期待を持った割には小幅な上昇にとどまっている。

 一方、5月の消費者物価は、架空費目の帰属家賃を除いた実勢ベースで前年比4・4%の上昇と、こちらは予想以上の大幅上昇となった。
このため、所定内給与は物価上昇を差し引いた実質では4・2%もの減少となり、残業代や特別に支払われた給与などを加えても、実質貸金は3・6%減少した。
世界規模の異常気象で食料品が値上がりしている。そこへ円安、原油高と重なり、さらに衣料品大手の値上げを機に、値上げの動きが広がりつつある。

 アベノミクスは税制、低金利、円安を通じて個人から企業へ所得の移転と、所得格差の拡大をもたらす面がある。
最新の日銀短観の結果を見ても、企業収益や設備投資は堅調だが、自動車や小売りなど、消費関連での落ち込みが大きい。

 欧米には行き過ぎた所得格差は成長の足かせになるとの認識がある。
日本でも個人の購買力を抑圧するような政策を続ければ、企業だけ潤っても国内市場は縮小し、国民の生活水準が低下しかねない。                   (千)


上に加えて、最近はどうやら「設備投資」も減少傾向にあるらしい。

実質賃金下落 → 購買力低下 → 国内市場狭隘化
のサイクルは既に顕在化しつつあるのではないか。

2014-07-10
機械受注19.5%下回る 2か月連続減 (NHK) ← ほらほらアベノミクスのバケの皮がそろそろ・・・。 それでも、内閣府は日銀よりまだ正直か?

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