2015年1月4日日曜日

トマ・ピケティ『21世紀の資本』は貧困増大と暴力的な格差の土台築くアベノミクスに警鐘を鳴らしている (井上伸)

YAHOOニュース
トマ・ピケティ『21世紀の資本』は貧困増大と暴力的な格差の土台築くアベノミクスに警鐘を鳴らしている
井上伸 | 国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者
2014年12月13日 9時58分
 
トマ・ピケティ著『21世紀の資本』(山形浩生・守岡桜・森本正史訳、みすず書房)を読みました。興味深かったところをいくつか列挙すると次のようになります。(※本文と注等あわせて700ページもあるので引用でなく要点メモであること御了承を)

◆資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出し、それが民主主義社会の基盤となる能力主義的な価値観を大幅に衰退させることになるのだ。[2ページ]

◆ここ数年来米国では、スーパー経営者に対する天文学的報酬額に正当化がされている。高額報酬がないと本物の富を獲得できるのは大資産の相続者だけになり、それは公正を欠くと主張する。スーパー経営者への何千万ドルという年俸は、もっと大きな社会正義への貢献となるというのだ。この種の主張は、将来のもっと大きく暴力的な格差の土台を築くことになりかねない。来るべき世界は、過去の最悪な二つの世界が合体したものになるかもしれない。それは、能力や生産性という観点から(ほとんど何の事実に基づいた根拠もないまま)正当化されたすさまじい賃金格差と、相続財産の非常に大きな格差との両方が存在する世界だ。こうして極端な能力主義によって、スーパー経営者と不労所得生活者の競争が、どちらにも属さない人々を犠牲にして行われることになる。[433ページ]

◆最も裕福な世界の成年人口45億人の0.1%=約450万人が、世界の富の総合計の20%を所有し、最も裕福な1%=約4,500万人が、世界の富の総合計の50%を所有。[455ページ]

◆21世紀に入って10年以上たった現在、富の格差は歴史的な最高記録に迫り、新しいグローバル経済は、莫大な格差をもたらした。[489ページ]

(略)

――以上が私のメモですが、ようするに、ピケティ氏は、格差の拡大、不平等の拡大が、資本主義の基盤である経済の効率性も民主主義も破壊してしまうので、それを政策的に制御するためには、累進資本税や富裕税などで累進課税を徹底することによって所得再分配をきちんとはかる必要があると主張しているわけです。

そして、ピケティ氏の指摘は、格差が拡大している日本への警鐘にもなっています。たとえば、下のグラフは、「申告所得階級別の所得税負担率」ですが、ピケティ氏が指摘しているように高額所得者の負担率が下がるという「逆進性」になっています。

画像(グラフ略)

画像(グラフ略)

また、上のグラフは、2007年時点の「申告所得に対する税・社会保険料負担率ですが、グラフにあるように、「日本の年収100億円の富裕層は年収100万円の貧困層より税・社会保険料負担が低い」のです。(※これは2007年時点で、今年から証券優遇税制等が廃止になっていますので違ってきます) 日本の所得税は、2015年分から最高税率が40%から45%に引き上げられますが、ピケティ氏が主張するように累進性を強化して「最高税率は80%以上」にする必要があります。

(以下略)



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