2015年5月31日日曜日

明治38年(1905)5月28日~31日 日本海海戦終わる ロシア艦隊:38隻中、撃沈19、捕獲5、自沈2、抑留8、ウラジオ着3、戦死5,600、捕虜6,100。 日本艦隊:沈没3(水雷艇)、死傷700(内戦死117) ロシアで初めてソヴィエト結成 

江戸城(皇居)二の丸雑木林
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明治38年(1905)
5月28日
・夜明け前、連合艦隊主力(第1・2・4・5・6戦隊)は北進、鬱陵島付近でウラジオめざすバルチック艦隊迎撃する作戦。
バルチック艦隊は、①北行部隊、②退避部隊、③逃散部隊に別れ、ウラジオを目指すのは15隻のみ。
午前4時42分、夜明け。

・午前5時25分、第5戦隊「巌島」ら、ウラジオへ向うネボガトフ少将指揮ロシア残存艦船「ニコライ1世」「オリョール」ら5隻を発見。
5時45分、瓜生外吉中将の第4戦隊・東郷正路少将の第6戦隊も発見。

・午前6時5分、「三笠」は第4戦隊に敵艦隊との接触を命じ、南方へ転進。

・午前6時30分頃、「信濃丸」ら3隻、沖島北東で戦艦「シソイ・ウェリーキー」発見。
7時20分、降伏意思表示。成川大佐は山田虎雄中尉以下31人を派遣し「台南丸」「八幡丸」に救命ボートを準備させる。乗員613、日本艦に収容。
8時30分、マスト上桁に軍艦旗を掲揚し、捕獲宣言。
11時2分、沈没。

・午前7時、巡洋艦「音羽」「新高」、巡洋艦「スヴェトラーナ」・駆逐艦「ブイストルイ」を追撃。
午後9時頃、「スヴェトローナ」はウラジオ行きをあきらめ朝鮮半島側に進路を変える。
10時、音羽隊の砲撃により「スヴェトローナ」は運動の自由を失い蛇行始めるが、勇戦し「音羽」に戦死4・負傷19の損害を与える。
10時40分、「ブルストルイ」が逃亡し、「新高」がこれを追跡。「音羽」は黒煙に覆われた「スヴェトローナ」を距離1千で継続砲撃。
11時6分、巡洋艦「スヴェトラーナ」沈没。死者170・救出291。「ブイストルイ」は、朝鮮海岸に座礁させ山中逃亡、全員捕虜。

・午前9時、巡洋艦「アドミラル・ナヒモフ」、駆逐艦「不知火」に接近を知り自爆。仮装巡洋艦「佐渡丸」、「ナヒモフ」乗組員523救助、他101は対馬・茂木海岸上陸。

・午前10時、旗艦「三笠」と第1戦隊・第2戦隊(上村彦之丞中将)、ロシア残存艦船を発見。
10時36分、「春日」が「アリョール」に対して試射すると第2戦隊も一斉砲撃。「アリョール」も応射。
10時37分、「ニコライ1世」が降伏意思表示。降伏に従わぬロシア残存艦船は砲撃を継続し、砲戦激化。
10時40分、他のロシア艦船4隻も降伏。巡洋艦「イズムルード」は逃亡。

・午前11時20分、駆逐艦「不知火」、駆逐艦「グロムキー」を蔚山に追詰める。「不知火」と第20艇隊水雷艇第63号が「グロムキー」を攻撃するが、果敢に反撃。
午後0時4分、「グロムキー」は殆どの砲を破壊され、砲弾も撃ちつくし、旋回状態に入ったため、艦長は総員退去を命令。艦長戦死、自沈。乗組員54救助。

・午前11時53分、連合艦隊主力は「ネボガトフ隊」を包囲、受降手続きを進め、東郷大将は参謀秋山中佐を軍使として派遣。

・午後1時37分、ネボガトフ少将と幕僚達、水雷艇「雉」で「三笠」に到着。

・午後2時、装甲巡洋艦「磐手」(第2艦隊司令長官島村速雄少将坐乗)、「八雲」、海防装甲艦「アドミラル・ウシャーコフ」発見、降伏拒否、交戦。

・午後2時30分、「佐渡丸」に追われた装甲巡洋艦「ウラジミール・モノマフ」沈没。乗員406は「満州丸」に収容。

・午後2時30分、ロジェストヴェンスキー長官・幕僚、「ブイヌイ」より更に駆逐艦「ベドウィ」に移乗。駆逐艦「グロズヌイ」とウラジオに向う。「ブイヌイ」は巡洋艦「D・ドンスコイ」により撃沈。
午後3時、鬱陵島南東で駆逐艦「漣」「陽炎」に発見される。「ベドウィ」は降伏を決意。
4時45分、「漣」「陽炎」は距離3千で「ベドウィ」を砲撃。「ベドウィ」は応戦せず、赤十字旗を掲げる。「陽炎」は逃走した「グロズヌイ」を追尾し、「漣」は「ベドウィ」に接近し、5時15分、伊藤中尉ら8人を派遣。ロジェストヴェンスキー中将発見。重傷のため動かせずと主張するため、「ベドウィ」を蔚山に連行することにする。

・午後4時30分、「磐手隊」、海防装甲艦「ウシャコフ」を発見、5時10分、距離1万5千mにつめる。ネボガトフ降伏を万国信号旗で伝えるが、5時25分、「ウシャコフ」は砲撃を開始。
午後6時10分、自沈。艦長以下83戦死、漂流339収容。

・午後5時50分頃、装甲巡洋艦「ドミトリー(D)・ドンスコイ」(「オスラビア」「ブイヌイ」から救助した乗組員270乗船)、第4戦隊(第4・2駆逐隊5隻が随行)に発見され追跡される。
6時45分、「音羽」「新高」にも発見される。
7時12分、鬱陵島南で「音羽隊」が追いつき距離6千で砲撃。ついで「新高」、7時40分には第4戦隊も発砲。第4戦隊先頭「浪速」は被弾・浸水し避退。
8時23分、「音羽隊」は視認できず砲撃中止。かわって駆逐艦4隻が攻撃。戦死80。「ドンスコイ」艦長は日本艦隊の攻撃後、乗員を鬱陵島に上陸させ自沈。翌日、捕虜。

・午後7時45分、第1戦隊、捕獲船「ニコライ1世」「アリョール」を引率して戦場を離脱、佐世保に向う。

・午後9時、装甲巡洋艦「アドミラル・ナヒモフ」沈没。乗員523、「佐渡丸」に収容。101は対馬琴村の茂木海岸上陸。琴村村民、丁重に介抱。
午後9時35分、第2戦隊は「アプラクシン」「セニャーウィン」を率い佐世保に向う。

ロシア艦隊:38隻中、撃沈19、捕獲5、自沈2、抑留8、ウラジオ着3、戦死5,600、捕虜6,100。
日本艦隊:沈没3(水雷艇)のみ、死傷700(内戦死117)
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5月28日
・欽定陸軍営制、清国の各省で実施。
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5月28日
・島根県石見江津市、運搬船「イルトゥイシ」乗員200余上陸。
・山口県阿武郡見島、工作船「カムチャッカ」乗員55、上陸。
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5月28日
・『直言』第28号発行。
「世界之新聞」欄は「ブンド連合大会」。
ブンド:ロシア、ポーランド、リトアニア在住のユダヤ人から成る革命的労働組合。社会民主党に加盟し、メンシェヴィキ派のマルトフが指導。
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5月28日
・(露暦5月15日)、イヴァノヴォ・ヴォズネセンスク市に最初の「ソヴィエト(評議会)」結成。
ソヴィエト:工場を基礎として一定割合で選挙された全市労働者代表会議(労働者500人につき代表1人を選出)、地区労働者の闘争指導機関。
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5月30日
・石川啄木(19)・節子、結婚式。啄木の帰郷間に合わず節子のみの式。盛岡で謹慎中の父を考慮し式に欠席(?)。
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5月30日
・連合艦隊司令長官東郷平八郎、旗艦「三笠」で佐世保着。ネボガトフ司令官との降伏条件、ロシア皇帝への戦況報告など伊東軍令部長、天皇、承認。

・午後0時45分、ロジェストヴェンスキー中将乗船駆逐艦「ベドウィ」、佐世保入港。佐世保海軍病院入院。
6月2日、東郷司令長官・参謀秋山真之中佐ら、佐世保海軍病院にロジェストヴェンスキー中将見舞う。

・午後2時30分、「ニコライ1世」他降伏ロシア艦隊、佐世保入港。
ネボガドフ少将は降伏条件に基づき大本営経由で皇帝に報告の電奏を許される。ロジェストヴェンスキー少将も同様。ロジェストヴェンスキーには慰労と武勇を讃える勅電が返るが、ネボガドフにはなし。ネボガドフ以下降伏将校らは皇帝の許可がなく宣誓帰国ができず、暫く捕虜収容所で過ごすが、やがて「宣誓帰国を准許せず」との報が入り、講和後、他の捕虜と共に帰国。帰国後は、官位を剥奪され軍法会議。ネボガドフら3艦長は死刑宣告、のち禁固10年に減刑。ロジェストヴェンスキーら「ベドウィ」乗組員も軍法会議にかけられるが、降伏時に人事不省であったとして無罪。
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5月30日
・この日付け幸徳秋水の堺利彦宛て手紙。
入獄中は「安否の報知と用事の外はかけぬ手紙」だが、この日の手紙では、ボストンの教授レーン氏の『The Level of Social Motion』を読んで面白かったこと、クロボトキンの『田野(ママ)、製造所及工場」、エンゲルス『フォイエルバハ論』、ヘッケル『宇宙の謎』 (英訳本)などを読んだことに続いて、

若し夫れ今の僕の宇宙観、人生観を問う者あらば、依然として唯物論者、科学的社会主義者也と報ぜよ。今後六旬の読書と思索と、想ふに此主張を強く固くするに過ぎざる可し。
社会に於ける我等の事業は、多くの迫害にも拘らず目覚しき発達を為せりと聞く。数の自然とは言へ、全国同志諸君の労苦と活動の如何に激しく且つ大なりしかを想うに足る。殊に木下兄の三十二票の如き寧ろ望外の好果なり。快哉を叫ばざらんや。諸君は却て此三箇月間に於て実に数年に価するの仕事を為せり。僕覚へず感謝の涙を堪ふ。

獄中の秋水は議会主義を見限り、無政府主義に惹かれていった。
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5月30日
・独、仏首相にデルカッセ外相の更迭を要求。
6月9日、仏外相、対独強硬策が入れられず辞任。
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5月31日
・小村寿太郎外相、高平駐米公使にロシアとの講和締結意志伝達と米ルーズベルト大統領に講和仲介依頼訓令。同時に、ロシアを講和につかせるために更に軍事行動が必要かの質問し、回答を求めるよう指示。
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5月31日
・ロシア、各紙が初めて日本海海戦の敗北を報じる。責任論が沸騰するが、制海権を奪われても満州での征陸権には影響しないとする強硬論強い。30日の軍事会議でも講和拒否を決定。ロシアはまだ「寸土」も占領されていない。
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5月末
・~7月初。ハンガリー、ブダペシュト、鉄鉱労働者ゼネスト、3万人
農業労働者2万5千ストライキ。軍隊5千・予備労働者6千動員、逮捕5千。
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