2015年7月7日火曜日

日々を慰安が 吉野弘 (『消息』(1957)所収) : 日々を慰安が 吹き荒れる。 / 慰安が さみしい心の人に吹く。 さみしい心の人が枯れる。 / 祭りのあと(作詞:岡本おさみ 作曲:吉田拓郎) : 日々を慰安が吹き荒れて

日々を慰安が   吉野弘 

   さみしい心の人に風が吹く
   さみしい心の人が枯れる 
             W・B・イエーツ


日々を慰安が
吹き荒れる。
 
慰安が
さみしい心の人に吹く。
さみしい心の人が枯れる。
 
明るい
機知に富んだ
クイズを
さみしい心の人が作る。
明るい
機知に富んだ
クイズを
さみしい心の人が解く。
  
慰安が笑い
ささやき
うたうとき
さみしい心の人が枯れる。
 
枯れる。
 
 
なやみが枯れる。

  
ねがいが枯れる。
 
 
言葉が枯れる。


                        『消息』(1957)所収


「吉野さんは人間の寂しさを知る人であった」 (中村稔)




祭りのあと 
    作詞:岡本おさみ 作曲:吉田拓郎 歌:吉田拓郎

祭りのあとの淋しさが
いやでもやってくるのなら
祭りのあとの淋しさは
たとえば女でまぎらわし

もう帰ろう もう帰ってしまおう
寝静まった街を抜けて

人を恨むも恥かしく 
人をほめるも恥ずかしく
なんのために憎むのか
なんの恨みで憎むのか

もう眠ろう もう眠ってしまおう
臥待月の出るまでは

日々を慰安が吹き荒れて
帰ってゆける場所がない
日々を慰安が吹きぬけて
死んでしまうに早すぎる

もう笑おう もう笑ってしまおう
昨日の夢は冗談だったんだと

祭りのあとの淋しさは
死んだ女にくれてやろう
祭りのあとの淋しさは
死んだ男にくれてやろう

もう恨むまい もう恨むのはよそう
今宵の酒に酔いしれて

もう恨むまい もう恨むのはよそう
今宵の酒に酔いしれて


三連目
”日々を慰安が吹き荒れて”は、
吉野弘氏の詩の一行を借りました。

     「元気です。」(1972年7月21日リリース)


祭りのあと 吉田拓郎




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