2016年6月26日日曜日

氷河期世代 最後の就活 環境改善、正社員に道 (NIKKEI STYLE かれんとスコープ) ; 氷河期世代が30代後半から40代前半になりつつある。総務省の調査によると35~44歳で非正規で働く人は約390万人。うち約2割は不本意ながら非正規を続けている。まだ可能性が広がる若い世代の陰で、行政の支援からも「忘れられた世代」になってきた。


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■非正規、約390万人

 塾に参加する42歳の男性は就職氷河期に大学を卒業した後、IT企業の契約社員として働いてきた。仕事にやりがいを感じていたが正社員になれる機会はなかった。「転職して失敗するのが怖くて契約社員を続けてきた。でもやっぱり不安定だし、年齢的にも最後だと思った」と話す。

 非正規の場合、突然仕事を失うこともある。14年間契約社員として働いた40代の男性は今春、業務がなくなり退社させられた。「次は正社員の職を探す。安心できる居場所がほしい」と切実だ。東京しごと財団の林さやか正規雇用対策担当課長は「いつも定員の2倍は応募がある。結婚や子育ての最後のチャンスとして正社員になりたい人が増えている」と話す。

 「バブル世代がどんどん乗り込んでいった会社というバスのドアが目の前で閉まった世代」。転職サイト「リクナビNEXT」の藤井薫編集長は氷河期世代をこう表現する。バブル崩壊後、企業は急速に新卒者の採用を絞り、若者は行き先を失った。その氷河期世代が30代後半から40代前半になりつつある。総務省の調査によると35~44歳で非正規で働く人は約390万人。うち約2割は不本意ながら非正規を続けている。まだ可能性が広がる若い世代の陰で、行政の支援からも「忘れられた世代」になってきた。

 だが、ここに来て採用の環境が改善し、氷河期世代の意欲をかき立てている。2015年の有効求人倍率は平均で1.20倍と24年ぶりの高水準となった。リクナビNEXTの藤井編集長は「人手不足に加え、いびつな年齢構成を修正しようとする企業が増えている」と話す。だからといって、大手企業に簡単に入れるわけではないが「現場のリーダーなどでまじめにやってきた人には、20年ぶりにドアが開いた」と見る。特に中小企業に聞くと「大切なのは人柄。年齢や正社員の経験は関係ない」という声は多い。

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