2017年1月24日火曜日

東芝の命奪う腫瘍、米原子力事業の「のれん」 ; 東芝が適用している米国会計基準では、買収した企業の収益性が落ちない限り、のれんの償却をしなくてもよい。今回のS&Wは計上の段階で一気に爆発する形となるが、株主資本に匹敵する巨額ののれんが、東芝を蝕む悪性腫瘍として存在している


 (略)

 昨年末(12月27日)、東芝は、「(原発建設にかかる)コストの大幅な増加により(S&Wの)資産価値が当初の想定を大幅に下回り、必要なのれんの計上額が当初想定の約87百万米ドル(約98.8億円)を超え、現時点で数十億米ドル規模(数千億円規模)となる可能性が生じた」と発表。これが各種メディアで最大7,000億円規模と報じられるところとなった。

 (略)

 ・・・のれんを20年以内に償却する日本の会計基準とは異なり、東芝が適用している米国会計基準では、買収した企業の収益性が落ちない限り、のれんの償却をしなくてもよい。今回のS&Wは計上の段階で一気に爆発する形となるが、株主資本に匹敵する巨額ののれんが、東芝を蝕む悪性腫瘍として存在している。

 ストックされたのれんの存在を考えると、爆弾となったS&W買収を決断したタイミングは不可解に思える。15年3月期におけるのれんの期末残高は6,585億円。16年3月期に2,949億円ののれん減損損失を計上し、当期純損失4,600億円の大幅赤字につながった。このような時期に、企業買収で巨額の損失を計上したとなれば、その経営責任は極めて重い。


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