2017年4月21日金曜日

北原みのり「『安倍晋三の家内』という名刺」 〈週刊朝日4月28日号〉;「店をやりたいんだけど」と妻が告げた河口湖の夜の安倍首相の怯えた顔を、私はどこかで確かに見たことがあるような気がしてならないのだ。それは、政治家に限らず、「女とはそういうもの」と、女をあらゆる場所から排除してきた男たちが潜在的に抱えている恐怖ではないだろうか。...


 (略)

 昭恵さんの存在によって暴かれつつある安倍政権の「権力」の正体について考えさせられる。自分で決断することも、自分でお金を稼ぐことも、自分で政治について語る言葉を持つこともできない立場に女を追いやり、「妻」として管理し、エロスもなく(多分)、会話もなく(多分)、だけど都合良く最大限に活用してきた男性政治家たちは、「来るべき時が来た」と、どこかで思っているのではないか。「店をやりたいんだけど」と妻が告げた河口湖の夜の安倍首相の怯えた顔を、私はどこかで確かに見たことがあるような気がしてならないのだ。それは、政治家に限らず、「女とはそういうもの」と、女をあらゆる場所から排除してきた男たちが潜在的に抱えている恐怖ではないだろうか。昭恵と晋三夫婦像は、この国で、決して特殊な例ではない。

 それにしても昭恵さんの言葉は、何を読んでも、かなり空虚だ。年季の入った空虚ほど、闇が深く破壊力のあるものはない。この破壊力をもって安倍政権を倒せるよう、私は「祈ります」。

※週刊朝日  2017年4月28日号



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