2016年1月15日金曜日

麦藁帽子に (茨木のり子)   

麦藁帽子に         茨木のり子

麦藁帽子に トマトを入れて
抱えて歩けは 暑いよ おでこ
たら らら らら らン
たら らら らら らン

小学校に入ったばかりの頃
先生が最初に教えてくれた唄
それには振りもついていて
おでこを ぴしゃぴしゃ叩いたり
おもいきり足をあげたりするのだった
へんな唄
おかしな唄
突拍子もなく思い出して
ひとりで うたう

麦藁帽子に トマトを入れてぇ・・・

だんだん愉快になってきて
それから日本史年表を繰ってみる
昭和八年 - 私の小学校一年生
小林多喜二が虐殺されていた!

                 (一九七二年九月「いずみ」)

『茨木のり子集』谷川俊太郎選 (岩波文庫)より


「倚(よ)りかからず」 (茨木のり子 詩集『倚りかからず』より) : もはや できあいの思想には倚りかかりたくない ・・・ じぶんの耳目 じぶんの二本足のみで立っていて なに不都合のことやある

「自分の感受性くらい」 (茨木のり子 詩集『自分の感受性くらい』) ; 自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ

汲む - Y・Yに -  (茨木のり子)

ある一行     (茨木のり子)

波の音   (茨木のり子)

いちど視たもの - 一九五五年八月十五日のために -  (茨木のり子)

通らなければ  (茨木のり子)

初秋    (茨木のり子)

ぎらりと光るダイヤのような日  (茨木のり子)

別れる練習をしながら (趙炳華) 茨木のり子『韓国現代詩選』より


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